日々トレードに励む、専業・兼業トレーダーのみなさん、こんにちは!
みなさんは日頃、毎日のように発表される経済指標を、どのように意識しているでしょうか。
「来週は政策金利が発表されるから、それに備えたポジションを取っておこう。」
「もうすぐ消費者物価指数が発表されるから、瞬間的にスキャルピングできるように準備しておこう。」
もしくは・・・
「まずい、今日は雇用統計だ。逆方向へいったら、いい加減損切りしなきゃな・・・・」
などなど、トレーダーなら経済指標に対して間違いなく何かしらの意識をするはずです。
経済指標はトレーダーにとって欠かせないもの。それはテクニカル分析をメインとしている方も、ファンダメンタルズ分析をメインとしている方も、関係ありません。
時にはチャンスとなり、ピンチにもなりうる経済指標。当然、トレーダーとして万全な準備をするほかありません。
今回はそんな経済指標のうち、アメリカのものに注目した簡単なスケジュールと、経済指標に対する私なりの心構えを解説します!
アメリカの経済指標を見る
アメリカの主要経済指標スケジュール
それでは、アメリカの経済指標をみていきましょう。
世界中のトレーダーが注目する米国経済指標。世界全体の経済はアメリカにかかっているといっても過言ではありません。
だからこそ相場にも大きな影響を及ぼします。
なかには瞬間的に大きく相場が変動するようなものもあれば、いわゆる「無風」と言われてしまうほど小さな値動きに止まるものも。ただ、これに関しては、はっきりいってその時の情勢による部分があります・・・。
以下、簡単にまとめておきました。
あくまで発表時期は目安、発表時間は夏時間を想定していますのでご覧になる際はご注意を。
重要度は「相場の変動具合」を考慮し、私なりにランクづけしました(SS〜B)。
発表時期 | 指標名称 | 発表時刻(日本時間) | 重要度 |
---|---|---|---|
月第1週 | ISM製造業景況指数 | 23:00 | S |
ADP全国雇用者数 | 21:00 | S | |
ISM非製造業景況指数 | 23:00 | S | |
・非農業部門雇用者数 ・失業率 ・平均時給 | 雇用統計21:30 | SS | |
月第2週 | 消費者物価指数 | 21:30 | SS |
生産者物価指数 | 21:30 | A | |
ミシガン大消費者信頼感指数(速報値) | 23:00 | A | |
月第3週 | 中古住宅販売戸数 | 23:00 | B |
新築住宅販売戸数 | 23:00 | B | |
月第4週 | GDP | 21:30 | A |
消費者信頼感指数 | 23:00 | B | |
個人所得・消費支出 | 21:30 | A | |
ミシガン大消費者信頼感指数(確報値) | 23:00 | A |
あくまで上に挙げた指標は個人的主観に基づいた「注目すべき」米国経済指標です。
また、これらは毎月ルーティンのように発表されるものであり、経済指標の代表である政策金利発表や、毎週のように発表される新規失業保険申請件数などは掲載していません。
先に、「重要度」は相場の変動具合を考慮したと書きました。
例えば、「消費者物価指数(CPI)」。これに関しては2022年現在、かなり注目が集まったものとされています。
2020年を端として世界中を巻き込んだ新型コロナウィルスの蔓延、そして近年のウクライナ情勢の悪化による、原油高をはじめとした物価高から、市場の注目度は極めて高くなりました。
特に、つい最近の話ですが、2022年7月13日(水)の21:30に発表された消費者物価指数では、米ドル円が凄まじい値動きを見せてくれました。
指標発表よりも前に、リッチモンド連銀のバーキン総裁が「明日のCPI(消費者物価指数)は高い数値が出る見通し」と発言したこともあり、市場は固唾を飲んで見守っていました。
すると結果は前年比予想8.8%に対して9.1%。大幅なインフレ継続示唆となり、米ドル円は1分のうちに130円05銭から50銭以上も上昇。スプレッドも大きく広がり、世界中が動揺したのを肌で感じました。
はっきり言って、FXトレーダーの月1の祭典、雇用統計よりも大きな動きでした。
このように、その時の世界情勢によって経済指標の重要度は変わってくるのですね。
だからこそ日々、経済指標の発表前の準備はトレードをする上で怠ることはできないのです。
先生、CPIをすっかり忘れて、友達とお酒を飲んで熱く語りあっていたら僕のポジションが消えてお金も減っていました・・・。
ここまで大きな値動きだと、どうしても事前に設定した逆指値よりもずれてしまいますね・・・。
アメリカ経済指標のポイント
世界中が注目するアメリカの経済指標は、4点、ポイントがあります。結果を見る際、参考にしてみてください。
- 発表時期が早い
GDPを例にとると、アメリカでは当該四半期が終了した翌月には「速報値」が発表されます。これは、日本や欧州では翌々月に発表されることを考えると早いです。もちろん、市場の注目度も高くなります。
- 指標結果の改訂が大幅かつ頻繁に行われる
特に雇用統計や小売売上高などの経済指標がよく言われますが、「改定値」として大幅に改訂されることがあります。なかにはプラスからマイナスへと数値が改訂されることも。
- 定義が国によって異なる
指標結果の定義は国によって異なることがあり、単純に比較することはなかなかできません。
例えば失業率。さまざまな点で日本とアメリカでは異なります。
調査対象が日本は15歳以上の人口であるのに対し、アメリカでは16歳以上の人口であったり。
- 指標の予想値の入手が簡単である
アメリカに限ったことではありませんが、重要指標の前には必ず「予想値」というものが発表されます。
もちろん、これは様々な機関がこぞって出しているものに過ぎませんが、おおよそ結果は予想できます。
市場は「速報値」ばかりに気を取られることが多々ありますが、「改定値」や「確報値」もしっかり抑えたいところです。
経済指標に対する心構え
経済指標トレードの注意点
経済指標はアメリカのものに限らず、ものによっては大きな値動きが期待でき、トレードをしてみたくなるものです。
まして、予想値が既に出ているわけですから、結果的に「簡単に稼ぐことができた」ということもしばしば。
しかし、はっきりと言いますが、経済指標トレード(スキャルピング)はほぼギャンブルといってよいでしょう。
絶対にしてはいけない、というわけではもちろんありませんが、おすすめしません。その理由として・・・
- 大きな値動きとなった場合、スプレッドが開いて満足のいく利確・損切りができない可能性がある。
政策金利発表や、先の例の消費者物価指数など、注目を集めている経済指標の発表直後はまともにトレードできないことがあります。スプレッドが開いて逆指値にヒットしてから、思い通りの方向へ進んでいくなんてことが頻繁に起こります。
正直、その損失は受け入れるべき損失かと言われると難しいです。
- 人間がAIに勝てるわけがない。
指標発表直後、値動きを作る第一人者はAI、アルゴリズムです。こやつらは数字だけを見て瞬時に判断し、一瞬で売買を仕掛けてきます。私たちトレーダーが結果を見る頃にはとっくにエントリーしているわけです(下手したらイグジットしている可能性だってあります。)。
- 良い結果(悪い結果)だからといって期待通りの値動きをするとは限らない。
これはいわゆる「織り込み済み」という言葉で片付けられます。相場の格言でいえば「Buy the rumore,Sell the fact(噂で買って事実で売れ)」ですね。
特に政策金利発表の後に起こりやすいです。予想値通りの利上げが行われた直後、「ですよね」と言わんばかりにその通貨が売られることはよくあることです。
- 予想値が常に正しいとは限らない。
「ポジティブ・サプライズ」「ネガティブ・サプライズ」といった言葉があります。予想値よりも良い結果であれば前者、逆も然りです。この場合、大きな値動きが発生し、思わぬ損失を被る可能性があります。
- スキャルピングトレードのつもりがデイ・スイングトレード化してしまう。
これは本当によくある話です。経済指標の値動きは本当に凄まじく、上・下髭でレートを元に戻すこともしばしば。
しかしそれがフラッシュバックして「きっと元に戻る」と期待し、損切りが遅れてしまう・・・。これはあってはならないことです。逆方向にレートが走ったら絶対に諦めましょう。
FXトレードは求める利益よりも失う損失をまず考えるものです。目先の利益ばかり追いかけると足元を掬われてしまいますので注意が必要です。
もちろん、うまくいけば大きな利益にはなりますが・・・。
先生、アメリカが政策金利を引き上げると言うのでドルを買ってみたら、もの凄い勢いで売られてしまいました・・・。助けて・・・。
それはもうギャンブルです。今すぐ損切りしてください。
ごまぷい流!経済指標トレードの方法(おまけ)
あれ?先生、経済指標直後はトレードしない方がいいって言いませんでした?
大きな値動きがあるということは、当然失うリスクを考慮しなければなりませんが、落ち着いてトレードをすれば、リスクは最小限に抑えながら稼ぐチャンスにもなり得ます。
経済指標のスキャルピングは怖い、けれど、もの凄い勢いで動いている相場を指をくわえて見ているのも・・・。
そんな思いを抱いている方向けに、ごまぷい流の手法を紹介します。
※以下はあくまで個人の主観です。トレードは自己責任でお願いいたします。
- 5分、15分足の確定まで待つ。
まずは、指標結果が発表されたら最低でも5分、または15分は待ち、ローソク足の確定を待ちましょう。
メリットは2つ。AIが作る、人間には理解不能な値動きに翻弄されることがないこと、もう1つは「やっぱりやめた」と諦めることができることです。何度も言いますが経済指標のスキャルピングは少しリスキーです。トレードをしない、というのも立派なトレードの一つです。
- 確定したローソク足の高値・安値に逆指値注文を設定する。
まさに「順張り」です。損切りの逆指値ではありません。中途半端なところで成り行きで入るよりも、勢いに任せる方がよっぽど楽です。指標結果発表後、ローソク足が「陽線」ならば「高値」に、「陰線」ならば「安値」に注文をします。あとはエントリーを待つのみです。
高値・安値ジャストに注文するのではなく、更新したら注文が入るイメージです。
ただし、確定したローソク足の上・下髭が長い場合は少し注意です。
- エントリー後、①で確定したローソク足の高値・安値に逆指値(ストップロス・損切り)を設定する。
指標結果発表後の値動きで作ったローソク足を、その後に否定するような値動きを見せるようなら、早々に損切りしたいところです。
「指標はゼンモ(全戻し)」という言葉もあります。勢いが失速すれば期待しても仕方ありません。
また、もしその損切りの値幅が受け入れ難いようならば、トレードしない方がいいです。
指標発表直後、大きな値動きを見せたならば当然ローソク足は長くなり、損切りも遠くなりますから、冷静に自分と相談しましょう。
ちなみに、以下の画像は、先ほど紹介した消費者物価指数の発表直後のゴールド(金、XAU/USD)のチャート(15分足)です。
この手法通りならばエントリーせずに済むわけですが、全戻しどころか上に突き抜けていってますね・・・。
もし突っ込んで売っていたとしたら大惨事です。
ぎゃあああ!こんなの予測できません!
ゴールドの値動きは殺人通貨ポンドどころではありません。難易度も極めて高く、苦い思い出がある人は絶対多いはずです。先生も学生の時、アルバイトで稼いだ原資すべてをゴールドで飛ば・・・
先生、それ以上は聞いていて辛いです。
- 利益確定はリスクリワード1:1を目安に。欲張らず。
リスクリワードとは、1回のトレードにおいて見込める「リスク(損失)」と「リワード(報酬)」の比率を指します。
例えば、リスクリワード1:1ならば、逆指値(ストップロス)を30pips、利益確定も30pipsということになります。
もしも勢いが強く、利食いするにはもったいないような状態ならば、半分利食いなど、分割決済をしていきましょう。
利食いを挟まないとせっかくの利益が台無しですし、何せ悔しい気持ちが生じます。
正直、1:1以下でも多少の利益さえ獲得できれば御の字です。
1円でも儲かれば、勝ち。というかラッキー。その程度の感覚でトレードしましょう!
まとめ
いかがだったでしょうか。これでも正直なところ勝率は決して高くありません。
ただ、結果発表直前にポジションを取ったりするようなギャンブル要素はある程度排除しているはずです。
どんな状況であれ、納得できるトレードは続けていきたいですからね。
相場はトレーダー全員に平等にあり、消えることは絶対にありませんから、焦らず、余裕を持ってトレードできるよう、お互いがんばりましょう!